nekojiro612’s diary

孫の小遣い稼ぎの空売りマン

白秋期

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 五木寛之の『白秋期』を読了した。15年ぐらい前に彼の『林住期』を東京で読んで、それから静岡県の山の頂上に一人で(猫を連れて)移住した。家族を育て上げたら後の時間は自分個人のために生きろということで、その通りにまず居を変えたら、生活も凄く変わった。山の上の庵の相場師!というのは建前で、実はリゾートマンションの安逸なお手軽温泉暮らし、でかいベンツ2台付きというやつだ。根っからそれまで都会人だったので、不便は嫌い。前から金はあるので面倒は金でなんとかする習慣が身に付いている。でも田舎ではそれが通用しない。『困る』という体験が新鮮である。

 料理ができるようになった。人とあまり話さなくても良い環境になった。だからよりたくさん書くようになった。(テキストでもグラフでも場帳でも、、)

 

 あの震災をきっかけに東京という都市を捨てた。もう10年が経つ。たまに東京に行くと、環八を超えるあたりから頭痛がする。空気が悪いからだ。まるで毒ガスを吸っているような気になる。これで病気にならん方が不思議だから、2、3日、金で買える贅沢をなるべく沢山したらとっとと帰ってくる。と言っても大した事じゃない。デパ地下で珍しいご馳走を買う、神田の古本屋と代官山の蔦屋で本を買う、五つ星で飯を食う、都市と田舎を適当に使い分けて楽しくやれば良いのである。一番困るのは映画だ。見たい映画は100キロ、200キロ走らないと見られない。今年アカデミーを取った『ノマドランド』は静岡県ではやっていない。まあ見る人がいないのだね。

 

 先達の知恵というのはありがたい。小僧や餓鬼ではわからない事を経験的に教えてれるのだがら、書物の読まない人生など想像もできないし、そういう人間を周囲には置きたくない。馬鹿のお世話はうんざりである。五木寛之によれば、60代、70代は老人ではない。従来の常識を覆すような生活をしろというススメである。

 1 脱仕事主義のススメ

 2 病院に依存しない生き方のススメ

 3 巧言令色のススメ

 4 習慣の絆を断ち切って自由に生きるススメ

 

以上のように、実に過激な革命的生き方の提唱だ。こういう本は少ない、というか他にない。彼の経験から編み出した方法を優しい言葉で丁寧に書いている。

 

 死ぬまでの残りの貴重な時間をどう個人として楽しむか?これに個人の価値の全てがかかっていると思う。



我が家は熱海の山頂にある。ここから車で15分で天下の剣、箱根に到着する。芦ノ湖湖畔のホテルではエマニュエルトッドがしばらく滞在してエッセーを書いたり、会議をしたりしていた。桜も紅葉も緑も本当に美しい場所に僕は住んでいる。

 

 都市を捨てて初めてわかる事や感じる事もとても多かった。先達の教えとは実に貴重でありがたい。人生がとても豊かなものになったと思う。