nekojiro612’s diary

孫の小遣い稼ぎの空売りマン

地方創生のリアル

 

 石破内閣に限らず歴代自民党の建て前的政策は『地方創生」とか『地方復活』とか国家予算を地方自治体に多めに配分することで、傾きかけて瀕死の状態の地方経済をなんとか上向きに変えたいと願ってきた。

 それはずっと続いていていつ始まったのか記憶にないほど昔のことだ。無論見え透いた国政選挙対策である。

 

 人口の増減と移動について、明治以降国は主要都市部に人口が集中するようなインフラと仕事を配置して経済のパイの大半をそこで作り消費する構造を守ってきた。一方で、地方には一次産業(農業、漁業、林業)を主とした産業配置で、産業が高度化していくと機械化、省力化により自然に人が減少して多くの産物を輸入により代替する政策に傾斜していった。

 

 1996年12800万人をピークに日本の人口と賃金は減少しはじめ、少子化高齢化が今後少なくとも半世紀以上は継続して人口規模は半減することが予想される。合計特殊出生率が1.2以下となって、先進国で一番早く老人社会になることが確実である。

地方はその意味で一番高齢化が進んだ場所であり、22世紀の日本の縮図のような状態である。

 

 「網代むすび」という網代小学校が廃校になった後の3階建ての校舎とグランドの敷地を活用して、コワーキングスペースや民間の会社の事務所に貸し出したり、NPOによるイベントスペースにレンタルしているが、見た目あまりうまく集客できているようのは見えない。隣の熱海中心地は賑わってホテルが容易には取れないほどの混雑ぶりであるにも関わらす、そこから15キロ、電車で2駅、バス便で40分の網代旭町は閑散として人がいないのだ。温泉もあるし、漁港もある。少ないが食事をするレストランや食堂もある。

 

 網代旭町で15年前から居酒屋をやっている夫婦と家族の話になった。ご子息は秀才で地元の有名校を卒業して現役で防衛大学に入り自衛官になり今は浜松で練習機に乗っているエリートだが、彼が今後父親の仕事を継ぐことは恐らくないだろうし、父親もそれを望んでいない。娘さんも高校を卒業して東京に出て仕事をしている。二人の子供はちっとも家に帰って来ないで寂しいと嘆いていたが、現実的に地方都市の子供は都会に出て仕事を見つけてしまうと地元の親の所には盆暮以外は帰らない。これは網代や熱海に限らない一般的な傾向だろう。

 

 子供が望む様な仕事や会社が地方にはない、子供の教育に適した高校や大学や専門的な教育期間が地方にはない、という構造的な問題がずっと続いているからだ。

交通インフラが発達したことで地方から都市部へのアクセスは容易になり、誰でも金と仕事さえあれば都会に行くことが容易にできる。しかも現在は労働力不足だから若年層の就職は容易で名目賃金も都市部は田舎よりも格段に高いので、それに釣られるのは無理もない。

人口全体が激減していく中で、地方に若者を止めておく方法はほとんど無いだろう。

人為的に特段の税制優遇を年齢別にやるとか(40歳以下は地方在住なら無税で給付金を毎年払うとか)すれば可能かもしれないが、基本的人権侵害の憲法違反の可能生が高いだろう。若者が地方で暮らす魅力がない、メリットを見出せないから大半が都市部に集中してしまう。

 

だとすれば、地方在住することに大きな魅力を作れば良いことになる。

個人的な移住者の僕の意見では地方生活には素晴らしい魅力が沢山あると思う。

 

1 空気や水や環境が素晴らしい

2 物価が安い、賃金が安い、不動産が安い

3 時間がゆっくりと流れてストレスがない

4 地域の特産物などは素晴らしい

5大半の買い物はアマゾンなどでネットですぐに届くから不便は多くない

6車は必需品で、原則一人1台が自由の鍵だ

 

都市部にずっと60年近く住んでいた僕のような老人なら田舎に魅力を感じて移住する例もあるが、それは仕事がどこにいても可能だからという理由が大きい。つまり人口を定着させるには、仕事がある事が一番確実だろう。仕事を作り出せば、熊本菊陽町半導体工場の様に若い人が集まる。円高による工場の海外移転が地方の没落の一因である可能性は高い。

外国からの国内への投資が地方に実行されれば、地方の人口や産業は復活する可能性は高い。熱海でも中国資本の大規模ホテルが開業してかなり賑わっている。

 

 都市部のストレスフルな生活に疲れた人がどんどん増えれば、そういう人たちは田舎への移住を考え実行し始める。老人ばかりではない。40代からやってくる人もかなりいる。

僕の周囲でも50人ほどの人が、日本中、世界中から熱海に来ている。

温泉とゆっくりした時間と自然環境に癒されているのだろう。仕事はあまり無いので、以前の仕事を引っ張って連れてきた人も多い。まあなんとかなるものだ。

趣味が高じて、キコリやマタギになった人もいる。菜園をやって余った野菜を配っている。物々交換である。都会では絶対に知り合いにならない人が田舎では仲良くなるのは不思議な出来事だ。そんな可能性と魅力が田舎にはあると思う。

本日のうお清は満席、ほぼ40分待ち。

貝塩特製で1290円、安すぎる、美味すぎるラーメンだ。

 

その後、網代むすびで テレワーク。初めて2人先客がいた。